結論から言うと初めて買うカメラはソニーのα6500がおすすめ!
最近、私の周りの何人かに、「一眼レフが欲しいんだけど何がおすすめ?」と相談を受ける機会が何度かありました。そこで真剣に今からカメラをやるなら何がよいか考えたところ、たどり着いた結論としては、一眼「レフ」ではなく、ソニーのミラーレス一眼「α6500」が性能、コストパフォーマンス、拡張性、全ての面で最もおすすめであろうと考えました。私のアドバイスどおり、α6500を購入した人からは思ったような写真が撮れて満足している、との感想をもらいました。
このブログを始めるきっかけにもなった出来事だったので、なぜα6500がおすすめか、ということについて、できるだけ平易に、専門用語を使わずに書いていきたいと思います。
私のカメラ経歴(簡単に)
私は、20年ほど前に初めて自分でデジタルカメラを買いました。
そのときはまだデジタルカメラの解像度は150万画素程度で、フィルムに比べるとまだまだ画質が劣っていました。
私はその後、何度かカメラを買い替えましたが、カメラボディの中に鏡が付いている(=レフレックス機構を備えた)いわゆる「一眼レフ」タイプのカメラは、ニコンのD810を最後に、2018年にミラーレス一眼に完全移行しました。
D810は8年近く前の機種ですが、今でも十分通用する性能を持っています。
しかし、「大きく」「重い」この2点が、アマチュアの私にとっては重荷になり、ソニーのα7Ⅲが登場したのをきっかけに、ソニーのミラーレス一眼のシステムへ入れ替えてしまいました。
ここまで来るまで、ニコン、ソニーの他、富士フイルムに行ったり、片手で気軽使えて高画質なRICOH GRを持ってみたり、ライカに手を出したりと、まさにカメラ沼にハマっていた(今も)私ですが、最近、周りの人から「キレイな写真が撮りたくてカメラが欲しいんだけど何を買ったらいいかアドバイス欲しい」と言われることがあり、これからカメラをやるにあたって、私のように色々なメーカーや機種を行ったり来たりして遠回りせず、後悔しないカメラ投資を行うにはどういう機材を揃えていったらよいか真剣に考えました。
相談者は、なぜカメラが欲しいと思ったか?
2022年2月現在、カメラ業界は非常に厳しい状況にあります。カメラ業界全体での出荷台数は、2010年には1億2000万台だったのが、2021年には836万台まで減少しました。この最も大きな原因は携帯電話、特にスマートフォンの普及ですね。ただ単純にその場の風景を写すならば、スマートフォンで事足りてしまうため、多くの人はわざわざカメラを買わなくても満足してしまうのです。
そんな中、カメラ自体もアナログからデジタルに転換していきます。つまり、アナログの象徴である「フィルム」に相当するものが、デジタルな「撮像素子=イメージセンサー」に置き換わりました。この大転換の中、カメラ業界におけるメーカーの立場は、総合電機メーカー且つイメージセンサーを自社生産できるソニーが、レフレックス機構を廃したミラーレス一眼を高性能なものからアマチュア向けのものまでラインナップし、ニコン・キヤノンのニ大巨頭を抜き去り一気にトップに立ちます。ニコン及びキヤノンは、一眼レフ時代の遺産に引き摺られ、ミラーレス一眼へのシフトが遅れてしまいました。2021年になってやっと、ニコン・キヤノンのミラーレス一眼カメラの本体性能はソニーに追いついてきた感がありますが、レンズ群がまだソニーほど揃っていません。
私に「おすすめのカメラは何?」と相談してきた人は、「料理とか化粧品などのテーブルフォトをもっとキレイに撮りたい」「iPhoneよりももっとボカした写真が撮りたい」「子供の運動会や発表会の写真をもっとキレイに撮りたい」といった希望を持っていました。
テーブルフォトであれば、「あまり明るくない室内でもキレイに写る」という条件を満たすカメラである必要があります。同様に、「ボカしたい」ならばセンサーサイズが大きいカメラで、レンズのF値が小さい(明るい)レンズが必要です。「離れた場所にいて動いている子供を撮る」には望遠レンズが使えて、オートフォーカス機能の性能が高いカメラが必要です。
上記のような要望を満たすには、やはり、レンズが交換できてセンサーサイズがiPhone等のスマートフォンより大きい一眼のカメラが適しています。
つまり、少なくとも、進化著しいスマートフォンのカメラ(相談者にとってはiPhoneのカメラ)よりも「キレイな写真が撮れる」ことが条件になります。スマートフォンのカメラと差別化できなくては、一眼カメラを購入する意味がありません。
iPhoneと差別化するために、カメラに求められる条件
それでは、スマートフォン・iPhoneのカメラと差別化できるような写真が撮れるカメラの条件を考えてみます。
上記相談者の希望を整理すると、
- 暗いところでもキレイに撮れる。
- ボケのある写真が撮りたい。
- 遠くのモノを撮りたい。
- 動いている子供を撮りたい。
ということが挙げられます。もう一つ付け加えるなら、「できるだけ安く、あまり重くないもの」という要望も多くの人が持つと思います。
カメラの構成要素として重要なのは、上述のイメージセンサーに加え、レンズの性能です。
No.1 暗いところでキレイに撮るには、できるだけイメージセンサーが大きく、明るい(F値の小さい)レンズが必要です。デジタルカメラの場合、イメージセンサーの大きさとレンズの性能が画質に直結すると言っても過言ではありません(ここでは解像度のことは一旦置いて話をします)。何故ならば、カメラは「レンズで光を集め、センサーで光を記録する」装置だからです。明るいレンズは光をたくさん集めることができ、大きいイメージセンサーは小さいサイズのものよりもたくさん光を感じて記録することができます。
イメージセンサーの大きさの規格は下図の通りいくつかありますが、今ミラーレス一眼カメラで普及しているのは、35mmフルフレーム(35mmフルサイズとよく言います)とAPS-C及びマイクロフォーサーズです。
Apple社は、iPhone13のイメージセンサーのサイズを正式には公表していませんが、独自に調査したサイトの情報を見てみると、1/1.7インチ以下、ということでした。上の図でいうと、下段中央のサイズです。米粒のようなサイズですね。それにくらべ、35mmフルサイズや、APS-Cはかなり大きいことが分かります。35mmフルサイズでは、1/1.7インチセンサーの面積の20倍、APS-Cでも8.6倍あります。ごく単純に言うと、iPhoneよりもこれだけ多くの光を感じることができる、ということになります。
No.2 ボケのある写真、についても、センサーサイズが大きいほうが、同じレンズを使ってもボケの大きな写真を撮ることができます。何故ならば、「ボケ」というのは、ピント、焦点が合っていない範囲に現れます。焦点が合っているところ=合焦点とは、本来ごく小さな一点になりますが、合焦点にごく近い周囲は人間の目にはボケを感じられずピントが合っているように見えます。合焦点から離れれば離れるほどボケが大きくなるわけです。もう一つ、カメラと被写体の距離が近いほど背景のボケは大きくなり、カメラと被写体が離れるほど背景のボケは小さくなります。
この2点からiPhoneのセンサーサイズは小さいので、より大きなセンサーサイズと同じ範囲を写すには、被写体から離れる必要があるため、大きなボケを得ることができなくなります。
No.3 遠くの物を撮るためには、望遠できるレンズが必要です。iPhoneの標準レンズは広い範囲を写すようになっているため、望遠が苦手です(ピンチアウトしてズームできるように見えますが、あれは画面を拡大表示しているだけで画質が粗くなります)。いまのスマートフォンはカメラが2つ3つ付いていますが、それでも運動会などで遠くにいる子供を撮るには足りません。
No.4 動く子供を撮るためには、オートフォーカス機能の性能が高いカメラを使ったほうがよいです。オートフォーカスできなくても予め動きを予測して撮ることはできますが、技術的に若干高度で慣れが必要です。オートフォーカスはiPhoneもなかなか優れていますが、今のソニーのオートフォーカス技術はすごいです。瞳AFと言って、人の顔から目の部分を自動で認識し、人が動いても追尾してくれます。これはもう自分のスキルを磨くよりも機械に任せてしまったほうがよいです。
上記のことからセンサーサイズはAPS-C以上、明るいレンズが入手できて、望遠レンズも手頃なものがあること、が条件となります。費用面では、フルサイズのセンサーは高く、フルサイズ対応のレンズも高額になるため、初めてカメラを買う人にはハードルが高いと思います。20万円ほど初期投資できるならば、35mmフルサイズセンサーを搭載したカメラを買ったほうが後悔しないと思いますが、おそらくは10万円程度が目安になるのではないかと思います。そこで、10万円前後を目処に機種をチョイスしていきます。
10万円投資前提で、メーカーと機種を絞り込む
一眼カメラの醍醐味は、レンズ交換できることです。ただ、ボディもそれなりにお金がかかりますが、レンズのほうがお金がかかるものです。レンズは、メーカー純正のものは一般的に高額になりやすいので、サードパーティのシグマやタムロンといったメーカーのレンズも選択できたほうが良いです。
2022年2月現在、ミラーレス一眼で、最もレンズの選択肢が広いのはソニーのEマウントです。
やはりミラーレス一眼を先行して作ってきたソニーがニコン、キヤノン、パナソニックに比べリードしています。ソニーは35mmフルサイズセンサー向けのレンズも、APS-Cセンサーサイズ向けのレンズも充実しています。レンズの開発にはとても時間がかかるので、このレベルには、各社まだ何年か時間が必要になると思います。また、カメラのボディのほうも、ソニーはセンサーサイズがAPS-C規格のα6000シリーズを6機種展開しており、選択肢が広いです。
レンズ込みで10万円を目安に考えると、35mmフルサイズはちょっと手が届きません。
そうすると自然とAPS-Cセンサーの機種を選択せざるを得なくなります。マイクロフォーサーズは私としてはセンサーサイズが小さく、逆にそれが使い勝手が良いこともあるのですが、最初の一台としてはAPS-Cサイズに行って欲しいです。この時点でAPS-Cセンサーの機種が無いニコン・パナソニックは選択肢から外れます。キヤノンはKissシリーズがあるのですが、レンズがいまいち充実していません。シグマ、タムロンもキヤノンRFマウント向けのレンズはまだ発売していません。富士フイルムはAPS-Cセンサーサイズのミラーレス一眼に力を入れていて、性能がよくてリーズナブルなレンズもあるのでおすすめできます。私もしばらく富士フイルムのミラーレス一眼を使っていたことがあり、満足する写真を撮れました。ただ、富士フイルムは35mmフルサイズセンサーの機種を作っていません。将来的にフルサイズへレベルアップするかもしれないことを考えると、富士フイルムを選ぶことはできません。
ということでメーカーはソニーがおすすめ、ということになります。
ソニーのAPS-Cセンサーの機種であるα6000シリーズはハイアマチュア向けのα6600と、エントリー向けのα6400が現行機種です。両者、画質はほぼ変わりません。手ブレ補正が付いているか付いていないか、が大きな違いです。α6600には手ブレ補正が付いているのでカメラ初心者にはやさしいのですが、お値段がやさしくありません。そこで現行機種の一つ前、α6500に白羽の矢が立ちます。α6500も手ブレ補正が付いており、α6600に劣っているのはオートフォーカスの性能くらいです(そのオートフォーカスも私から見ると十分高性能です)。
値段を見てみると、α6600は中古で12~13万円。α6500は中古で6万5000円~7万円程度です。ほぼ倍の開きがあるのですが、性能差はそこまではないと断言できます。ちなみにα6400も中古でまだ9万円します。値段だけで見てもα6500が今一番お買い得だと言えます。もしそれでもまだ高すぎると感じる人には、α6000をおすすめします。α6000シリーズ最初の機種で、発売は2014年と幾分古くなりますが、画質は十分キレイです。中古で3万5千円から4万円くらいです。ただ、このα6000、中古相場が最近値上がり傾向にあります。一時期3万円前半くらいで程度のいいものが買えたのですが、そのときより3割ほど値上がりしている感じです。ちょっと割高感があるので、できればα6500がおすすめなのですが、費用面を最優先に考えるならばα6000になります。
このα6000シリーズ、値段の面もそうですが、形状と大きさ、重さの面でも初心者におすすめできます。
一眼レフだと、カメラの真ん中上部にファインダーが付いてますよね、ペンタ部という出っ張りです。このα6500は、それがありません。カメラ上部はフラットになっています。この形を弁当箱型とか言う人もいます。ちゃんとファインダーが付いているので、「ファインダーを覗いて撮影する」というカメラっぽい撮り方もできます。この形状のおかげで、バッグに入れても嵩張らないのです!これ重要です。スマートフォンがなぜ現代最高カメラになったのか。それはいつでもどこでも持ち歩けるからです。カメラも持ち出せないと意味がありません。私は通勤にもカメラを持っていくので、大きさと重さが非常に重要です。富士フイルムのミラーレス一眼でさえ、毎日持って歩いたら肩を壊しました。α6500はバッグに収納しやすく、且つ軽いです(410g)。α6000はもっと軽いです(285g)。
つまり、価格と、本体の大きさ重さ形状が初心者に最もバランスがよいのがα6500なのです。
そしてレンズを選ぶ
カメラのボディが決まったら、次はレンズを考えなくてはなりません。
レンズはもうピンキリで、用途に合わせてチョイスしているとお金がいくらあっても足りません。
ただ、シグマから最近発売されたレンズで、小型軽量なのにこれ一本あればテーブルフォトから風景まで、ボケも活かした写真も撮れるという素晴らしいレンズがあります。
このレンズ、F値が2.8とズームレンズとしては明るめで、焦点距離が18mmから50mmまで(35mmフルサイズセンサーの場合に換算すると、27mmから75mmまで)と、広角から標準域、中望遠までカバーできます。はっきりいって、これ一本で運動会などで遠い被写体を撮る場合以外はカバーできてしまいます。まだ発売して間もないため、中古でもあまり値下がりしていません。5万円台後半で購入可能です。このシグマ18-50と、運動会用にソニーの純正のE 55-210mm F4.5-6.3 OSS (SEL55210)というレンズがあれば十分です。
このSEL55210というレンズは中古で1万円ちょっとで手に入ります。とにかく安く、そこそこ写るのが取り柄です。
カメラボディはα6500に、レンズがシグマ18-50mm f2.8、ソニー55-210mmの2本。これが12~13万円くらいで揃うはずです。まずはこのセットで写真を始めて、もっと広く写したいとか、さらにもっと遠いものを撮りたい、とか自分でこうしたい!という気持ちが芽生えたら、他のレンズを調べていくとよいかと思います。
次のステップに向けて
カメラを始めてしばらくすると、さらなる高画質を目指したくなるかもしれません。いえ、きっと目指します。
そのときに選択肢となるのは、35mmフルサイズセンサーを搭載した機種になります。
そして、レンズもフルサイズ対応のものを買うことになります。
このレベルになると、投資としては30万円コースになります。このときには、きっとそれくらいの投資は屁でもない、という気持ちになっていることでしょう。
α6500を持っている人におすすめするフルサイズセンサーのカメラは、やはり同じメーカーであるソニーのα7シリーズです。2022年2月現在はα7Ⅳが最新機種です。α7Ⅳが発売されたおかげでα7Ⅲの中古相場が下がってきています(17万円くらい)。余談ですが、ソニーは新機種が出るたびに値上げする傾向があるため、買うなら一つ前の機種のコスパがよいです。今だとα7Ⅲが狙い目ですね。買える人はα7Ⅳに行くべきだと思いますが、私は残念ながら手が出ませんでした。
新しいカメラを買うとき、古いカメラを下取りして買い替える方法があります。そのほうが手持ちの資産が無駄にならず、お安く新機種を買えるのですが、α6500は売らないでください。
何故ならば、α7Ⅲがいかに軽量とは言え、ボディだけで650gあります。フルサイズ対応のレンズと合わせると1kgを超えるのは普通です。毎日気軽に持ち出すには億劫になる重さなのです。
そうするとサブ機として、結局小型軽量なAPS-Cセンサーのカメラが欲しくなるのです(これは私が散財しまくってたどり着いた極地です)。
α6500はα7Ⅲなどのフルサイズ機と同じレンズマウントなので、フルサイズ用に買ったレンズであってもα6500に装着できます(センサーサイズがフルサイズより小さいので1.5倍望遠になりますが)。要はレンズを共用できるわけです。
そのため、通勤にはα6500に軽めのレンズを装着して持ち出し、イベントにはα7Ⅲと望遠用にα6500を持って万全の体制で撮影に挑むことができます。私はこの体制にたどり着くまでなんやかんや10年かかってしまいました。
以上のようなことから、これからカメラを始めるなら、ソニーのα6500が今一番おすすめですよ、という結論でした。
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